<国立小学校入試>制作課題をわかりやすく解説!
小学校入試では、「制作」や「巧緻性」の課題が出題されることがあります。こちらの記事では、首都圏・関西圏の国立小学校入試にスポットをあてて、「制作課題」の傾向と対策を分かりやすく解説していきたいと思います。
<国立小学校入試>どんな考査が行われるの?
国立小学校とは、国立大学や国立教育大学の附属小学校のことを指します。国の教育研究機関としての役割を担っているため、最先端の教育が受けられると言われています。また、私立小学校に比べて学費が抑えられていることもあり、入学志願者が多く毎年高倍率となっています。
考査内容は学校ごとに異なりますが、主に次のような内容で行われています。
・「学力」をみる | ペーパーテスト・個別課題 | |
・「社会性」「生活技能」をみる | 行動観察・個別課題 | |
・「年齢相応の身体の発達」をみる | 運動課題 | |
・「手先の発達(巧緻性)」をみる | 制作課題 |
<国立小学校入試>どんな制作課題が出題されるの?
入試ではプリントや運動に加え、制作課題も実施している学校が多くあります。
制作課題を実施している小学校を受験予定であれば、過去の出題内容を調べ、対策しておく必要があります。
過去の出題傾向を分析してみると、以下のような技能を使う課題が多く実施されています。
制作技能 | 課題例 |
---|---|
折る | 線にそって紙を折る・説明を聞いて折り紙を折る 等 |
塗る | 指示された箇所をていねいに塗る 等 |
切る | 形を切り取る・線にそって切る 等 |
運筆 | 点線をなぞる・道からはみ出さないように線を引く 等 |
ちぎる | 線や形にそってちぎる 等 |
紐を通す・結ぶ | 穴に紐を通し、蝶結びをする 等 |
<国立小学校入試>それぞれの制作技能と、その観点
●折る
小学校生活において、配布されたプリントを折って持ち帰ることは頻繁にあります。「折る」という作業は、基本的な制作技能であると同時に、整理整頓の観点からも重要な生活技能です。
●塗る
普段から塗り絵などで楽しく塗ることに取り組んでいることも多いと思いますが、「塗る」は、筆記具を持つ指先の力、筆記具を思い通りに動かす巧緻性、きちんとはみ出さないように塗るていねいさなど、いろいろな能力が必要な制作技能です。
●運筆
小学生になると文字を書くことが必要となりますが、点線をなぞる・道からはみ出さないように線を引くなどの「運筆」は、それに向けての第一歩です。筆記具を正しく持ち、筆記具の先をよく見て、ずれないように手指を動かしなぞっていきます。集中力の持続が必要な作業です。
●切る
「切る」は、この場合ハサミで切ることをさします。
ハサミで切る作業は、4本の指でしっかりとハサミを持ち、指を動かして刃を動かします。同時に、もう一方の手で紙を支えたり、切る方向に紙を回したりしながら、目と手の動きを協調させて、手や指先の動きをコントロールする必要があります。ハサミを使って切る作業は、幼児にとっては想像以上に複雑な技能です。
●ちぎる
「ちぎる」は、両手の親指と人差し指で紙をつまんで、右手と左手の親指がくっついた状態のまま動かし、紙を切り分けていく作業です。ちぎる紙の厚さによって指先に入れる力の加減が必要ですし、少しずつしか進まないので、集中力と根気が必要です。
●紐を通す・結ぶ
入試では「穴に紐を通し、蝶結びをする」という課題がよく出題されます。
蝶結びは、右手・左手がそれぞれ違う動きをしなければならないため、幼児には難しい作業といえるでしょう。小学生になれば「靴紐を結ぶ」「プリントを綴じる」など、日常的に必要な技能となります。
<国立小学校入試>学校ごとの特色
筑波大学附属小学校
折る・塗る・ちぎる・紐を通す・結ぶ作業の他に、貼る・描くなど総合的な制作技能を必要とする、工夫された楽しい制作課題が出題されます。
先生の手元をスクリーンに映しながら、作り方を説明します。説明を聞いてから各自が課題に取り組みます。
制作時間がかなり短いため、効率的に作業を進める必要があります。
お茶の水女子大学附属小学校
折る・切る・結ぶ・貼る・描くなどを中心に、工作系の課題が出題されます。
先生が口頭で作り方の説明をする場合や、動画で説明する場合があります。説明を聞いてから各自が課題に取り組みます。
制作したものを使ってグループで遊ぶなど、行動観察も含めた考査が行われることもあります。
東京学芸大学附属小金井小学校
折る・ちぎる・留めるなどを中心に、生活技能に関連した課題が出題されます。
動画で課題の説明がされます。説明を聞いてから各自が課題に取り組みます。
埼玉大学教育学部附属小学校
お手本と同じ形になるように折り紙を折り、形の枠線に合わせてシールで貼るなどの平面構成系の課題が出題されます。
大阪教育大学附属天王寺小学校
切る・ちぎる・貼る・塗る・描くなどを中心に、平面構成系や巧緻性の課題が出題されます。
大阪教育大学附属平野小学校
折る・塗る・運筆などを中心に出題されます。
大阪教育大学附属池田小学校
折る・ちぎる・運筆・塗る・描くなどを中心に、総合的な制作技能を必要とする課題が出題されます。
<国立小学校入試>ご家庭での対策例
●折り紙
お家の方が折り方を説明し、それを聞いてからお子さまが取り組むという流れでやってみましょう。
手順の多い難しいものではなく、比較的作りやすいものに取り組み、ていねいに作業することを心がけましょう。
また、時にはお子さまがお家の方に折り方の説明をすることに取り組んでみましょう。説明力や発表力、指示理解力の強化になります。
●型取りとハサミ切り
色画用紙などに紙コップを伏せて置き、口の周りを鉛筆などで型取りをしたあと、ハサミで切り抜きましょう。
さらにそれを画用紙にのりで貼り、その形を何かに見立てた絵を描くのもよいでしょう。
●紙をちぎる
折り紙やコピー用紙に線を引き、その線にそってていねいにちぎりましょう。
新聞紙をできるだけ長く、途中で切れないようにちぎってみましょう(互い違いにちぎる、らせん状にちぎるなど)。
●蝶結び
ペットボトルに紐をぐるっと回してから、前で蝶結びをしましょう。
様々な大きさの紙に2穴パンチで穴をあけ、穴を揃えてからつづり紐を通し、蝶結びをしましょう。
●市販の「制作課題教材」を利用する
市販の「制作課題教材」は、過去の入試課題や、入試でよく使われる技能を取り入れた課題など、実践的な入試対策ができるものが数多くあります。志望校にあった教材を探して、取り組んでみましょう。
まとめ
国立小学校の制作課題は、作品の出来栄えというより、説明を聞いたうえできちんと作業ができているかという指示理解力をみていることが多いようです。限られた時間で作成することが必要ですが、作業のていねいさも大切です。
まずはひとつひとつの作業がしっかりできるように練習を重ねましょう。入試直前期には実際の出題形式のように、「説明を聞いてから課題に取り組む」形式で、複数の作業を組み合わせた課題に取り組むとよいでしょう。
制作課題対策用おすすめ教材
筑波大学附属小学校 制作課題セット
筑波大学附属小学校の考査で過去に出題された課題を収録しています。
材料はお家の方の見本用と、実際に取り組む用の2セットが入っていますので、実際の考査に近い形式で取り組むことができます。
また、課題の一部は作り方の手順を動画配信しておりますので、ぜひご活用ください。
工作系の出題があるお茶の水女子大学附属小学校の対策にもおすすめです。
ピクニックボックス(うみへ いこう/まちへ いこう/やまへ いこう)
総合的な制作課題をたくさん収録しています。
制作のための「引き出し」を増やすことで、入試本番の制作課題も意欲的に楽しく取り組めるでしょう。
また、「チャレンジ制作」は、過去に国私立小学校で出題された制作課題を5課題ずつ収録しております。
親子で学ぶ ひもとおしW(ダブル)
頻出の「紐を通す・結ぶ」課題の対策ができます。